抜髄

pulpectomy

歯の神経とその働き

歯の内部には「歯髄」と呼ばれる組織があります。一般的に「歯の神経」と呼ばれるこの部分は、実は神経線維だけでなく血管も含まれており、歯に必要な栄養や水分を供給する重要な役割を担っています。健康な歯髄は歯を生きた状態に保ち、外部からの刺激(温度変化や圧力など)を感知する機能も持っています。

神経の炎症が起こる原因

歯髄炎(神経の炎症)が発生する主な原因として以下のようなケースが考えられます。

虫歯菌が深部まで侵入することで歯髄に感染が広がり炎症を引き起こします。この場合、虫歯の大きさよりも深さが問題となります。また、噛み合わせが不自然な被せ物や継続的な知覚過敏なども歯髄に慢性的な刺激を与え、炎症を引き起こす要因となることがあります。

神経治療が必要なサイン

神経治療(抜髄)が必要となる症状にはいくつかの特徴があります。例えば、脈を打つようなズキズキとした強い痛みがあり、時には反対側の歯や頭部にまで痛みが広がることがあります。また、問題のある歯に触れると激しい痛みを感じたり、入浴や運動後、就寝時など体温が上昇すると痛みが増すといった特徴があります。

痛み止めを服用すると一時的に和らぐものの、効果が切れると再び痛みが現れます。冷たい水で口をゆすぐなど、冷却することで一時的に症状が緩和するケースも見られます。これらの症状がある場合は、歯髄炎を発症している可能性が高いため、早急に歯科医院での診察が必要です。

歯髄炎の進行

歯髄炎を放置すると、炎症が進行して歯髄が壊死し、腐敗してしまいます。こうなると単純な神経治療では対応できず、より複雑な感染根管治療が必要となります。また、症状が悪化するにつれて治療の難易度も上がり、歯の保存が困難になるケースも少なくありません。当院では、早期発見・早期治療の重要性についても患者様にご説明しています。

神経治療の流れ

1. 麻酔処置

治療開始時には、患者様の痛みを軽減するため局所麻酔を行います。炎症が強く麻酔が効きにくい場合には、鎮静剤を用いて歯髄の活動を抑制し、後日改めて抜髄処置を行うこともあります。

2. 清潔環境の確保

神経治療の成功率を高めるためには、無菌状態の維持が非常に重要です。当院では治療中に唾液や細菌が根管内に入り込まないよう、ラバーダムと呼ばれる防護シートを使用します。これにより、治療部位を隔離し、清潔な状態で処置を進めることができます。

根管治療を繰り返し受けている方の多くは、実はこの清潔環境の確保が不十分だったために細菌が再び繁殖し、治療と感染を繰り返しているケースが少なくありません。当院では使用するラバーダムシートや器具は全て個別に滅菌処理を行い、最高レベルの衛生管理を徹底しています。

3. 根管清掃と消毒

感染した歯髄を丁寧に取り除き、専用の器具(ファイル)を用いて根管内部を清掃します。その後、適切な薬剤で根管内を洗浄し、残存する細菌を確実に殺菌します。当院では精度の高い治療を実現するため、最新の設備を導入しています。

4. 根管充填

清掃・消毒が完了した根管内には、再感染を防ぐために適切な材料を隙間なく充填します。通常はペースト状のバイオセラミクセメント(MTA)とガッタパーチャという材料を用います。これらの素材は生体親和性が高く、長期的な歯の保存に効果的です。

5. 最終修復

根管治療が終了した後は、歯の形態と機能を回復させるため、適切な被せ物による修復処置を行います。被せ物の種類や材質は、歯の状態や患者様のご要望に応じて選択します。

神経治療の重要性

神経治療は、歯の寿命を大きく左右する重要な処置です。実際、当院には他の医院で神経治療を受けた後も痛みが続き、最終的に「抜歯しかない」と言われてから相談に来られる患者様が少なくありません。

根管治療の成功率が低いと言われる主な原因は、この初期段階の神経治療(抜髄)が適切に行われていないことにあります。一度炎症を起こした歯髄は、たとえ一時的に痛みが和らいでも、完全に健康な状態に戻ることはありません。そのため、適切な神経治療と根管充填が必要となります。

当院では患者様に治療内容をしっかりとご説明し、ご自身の歯を長く守るための最適な治療方法をご提案しています。神経治療に関するご不安やご質問がございましたら、遠慮なくご相談ください。

ACCESSアクセス

阿倉川歯科医院

〒510-0803
三重県四日市市阿倉川町12−3

月・火・水・金・土
9:00〜12:00/14:00〜18:00
休診日
木・日・祝日